エチレンは化学物質ですが、野菜や果物からも生成されます。エチレンは植物ホルモンとして作用し、一般的に老化ホルモン、又は成熟ホルモンといわれており、植物の細胞の老化や成熟に関与します。
野菜や果物の中にはエチレンが成熟に関与するタイプのものと、エチレンとは関係なく成熟するタイプの2種類ありますが、このエチレンの生成によって、大きな影響を受けることがあるのです。
エチレンガスが野菜や果物に与える影響について
『腐ったりんごが1つでもあると、まわりのりんごが腐っていく』という言葉を、一度ぐらい耳にしたことがあると思います。これは、りんごに本当に起こる現象を人間の組織の中に当てはめた非常に皮肉のあるユーモラスな言葉です。
りんごは成熟が進むと、エチレンを生成します。エチレンは果物の成熟を促しますが、成熟のピークが過ぎると腐敗が進みます。その為、青果物の輸送・保管時にエチレンの生成が発生すると大きな損害を被ります。例えば、青いバナナがあるとします。ビニール袋の中に、ひとつは青いバナナだけを入れて、もうひとつには、青いバナナと成熟した黒いバナナを入れるとします。
24時間放置すると、青いバナナだけ入れたビニール袋は青いままですが、成熟したバナナと一緒に入れた青いバナナは、一気に成熟が加速し、黄色の食べ頃になっていました。これは、成熟したバナナから生成されたエチレンが影響を与えているのです。この時に問題なのは、成熟が進みピークを過ぎると、腐敗が進む事です。
カリフォルニア大学の研究では、流通、卸売りの段階でさえ、0.005ppm以上のエチレンガス濃度で全体の半数以上の農産物に取り返しのつかない損害を与えてしまうとの、見解を出しております。
野菜・果物は農家から出荷→コンテナによる輸送→物流倉庫に保管→各販売店といった流れで我々の元に届きますが、その間にオゾンによるエチレンガスの除去で、新鮮度が守られているのです。
最近では、家庭の冷蔵庫や野菜室などに、微量のオゾンを生成させて、新鮮度を持続させるというユニークな商品もあるようです。
オゾンでエチレンガスが分解!
■ オゾンによって、エチレンは以下のように分解されます。
■ オゾンによって、エチレンは以下のように分解されます。
オゾン濃度:0.06ppm/室温:約15℃/湿度:60~70%/期間:1週間