皆さんが食べている野菜や、園芸など観賞を楽しむ植物の多くは、最初に小さな種から栽培が始まります。これから伸びようとする大事な部分が、かなり硬い殻に閉じこもっているわけですから、植物にとって発芽とは大変なイベントなのです。オゾンはこの発芽にも一役買っています。
除菌と溶存酸素量UP
では早速、発芽実験をやってみましょう。まず、植物が芽を出すためには、水分・酸素・温度が必要不可欠です。(発芽の3条件)酸素は自然界にたくさんありますので問題ないですね。水分をたっぷり与えましょう。長時間水に浸して、ようやく芽が出てきました。その後は皆さんご存じの通り、徐々に成長していき、地面に根を張っていきます。しかし、芽が出ないものや腐ってしまった種がちらほら見えます。
実は、水をたっぷり掛けてあげれば自然と芽が出てくると思われがちですが、水をたくさんあげ過ぎても酸素の供給が追いつきませんので、なかなか芽は出てきません。これは、長時間水が淀んでいたため雑菌が繁殖してしまい、溶存酸素量が減ってしまった事や、自ら水に含まれる酸素を消費してしまったからなんですね。汚染度の高い水中では,微生物・雑菌などに消費される酸素の量が多いので溶存酸素量は少なくなります。逆にきれいな水ほど酸素は多く含まれます。それから、種は吸水すると呼吸作用が急激に高まり、酸素の消費を盛んに行ないます。この呼吸によって得られたエネルギーは、種子中の貯蔵養分の分解・利用や発芽・発根に用いられます。というわけで、種の発芽に際しては、酸素の供給が不可欠です。とにかく酸素を種の近くに供給してあげたいですね。
雑菌が原因で種が腐ってしまう事もしばしば見受けられます。種が腐らないように専用の薬剤を使う場合もあるようですが、当然ながら残留します。現代のニーズに合ってませんし、体に良くないのでできれば避けたいですね。(野菜は特に)
では、オゾンを使った場合はどうなるでしょうか。前述の方法と同じく水に浸すわけなんですが、ここではオゾン水と呼ばれるものを使います。オゾン水とは、オゾンを一定濃度溶存させた水のことです。オゾンをマイクロバブリングさせた(非常に小さな気泡のオゾンを一定量混ぜた)水も、広義にオゾン水と呼ばれることがあるようです。さらに、オゾンは酸素原子3つで出来ていて自然と酸素へ戻る性質がありますので、水の中に酸素が供給されることになります。そして極め付けなのが、除菌効果。オゾンは水分子とタッグを組むと、低濃度でも十分な除菌力が生まれることが知られています。物凄い除菌力にもかかわらず自然と酸素に戻る性質がありますので、もちろん残留性ゼロ。微生物や雑菌が繁殖しないので溶存酸素量を維持できます。
では、濃度の濃いオゾン水を与えればいいかというとそうでもありません。オゾン濃度が高すぎた場合は、発芽した時にオゾンがアタック(酸化)しすぎてしまい、芽がダメージを受けてしまいます。
もしかしたら…硬い殻へオゾンがアタック(酸化)しているので、水のみの場合と比べて早く殻を軟化させ、結果として発芽しやすくなっているかもしれません。薄い濃度であれば芽がダメージを受けませんし、殻が柔らかければ発芽しやすそうですし。ちょっと見方を変えて殻に着目してみましたが、オゾンに晒されてるわけですから、何らかの影響はありそうです。
※殻の軟化については、あくまで憶測に過ぎません。殻や外皮への効果はまだ分かっていないことが多いのです。
植物の種類によって適正なオゾン濃度はまちまちですが、色々なオゾンメーカーさんの努力により、効果は実証できています。というわけで、要点をしっかり押さえれば、薬剤フリーで発芽率UPが可能なオゾン水の紹介でした。
全ての野菜の種へオゾンが用いられる日も、そう遠くないかもしれませんね。